公開日:2022年1月31日
キュービクルという言葉を聞いたことがありますか?
これは、企業などで保有・管理している高圧受電設備のことです。
高圧受電設備には「閉鎖型」と「開放型」があるのですが、現在は閉鎖型であるキュービクルが一般的となっていて、
電気代削減のためにキュービクルを採用している企業も増えてきています。
このキュービクルは、一定規模以上の電気を使用する建物・設備では設置が義務付けられているものなのですが、
電力の契約方式やその仕組みはどうなっているのでしょうか。
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キュービクルとは何か
キュービクルは、高圧の電気を受けるための設備のことで、箱状のものです。
商業施設や中小規模の工場、オフィスビルなど「高圧受電契約」をしている建物では必ず設置されているもので、
正式名称を「キュービクル式高圧受電設備」と呼びます。
変電所から高圧で送られてくる電力を変圧して、施設内で使える大きさまで電圧を小さくするために必要な設備で、
金属製の箱の中に受電設備が収められています。キュービクル(小屋、箱)という名前は、そのような仕組みから名付けられました。
キュービクルは、グレーかクリーム色をしていて、建物の屋上や敷地内に設置されます。
実は、多くの電気が必要な事業所には、電柱の変圧設備を通らずに直接高圧の電気が送られる仕組みになっているため、
施設ごとに内部で使える電圧まで下げる必要があります。
その電圧を変化させる役割を担っているのがキュービクルで、
高圧受電契約をしている建物に設置をしなければいけません。
また、現在の電力量は少なくても、将来的に電力使用量の増加が予想される場合は高圧契約できるケースもあります。
高圧受電契約とキュービクルの関係性
そもそも電力会社と結ぶ契約には「高圧受電契約」と「低圧受電契約」があり、
使用電力が50kW以上の場合は高圧受電契約、一般家庭や個人商店などの50kW以下の場合は低圧受電契約となるのが一般的です。
そして高圧受電契約の場合はキュービクルを設置する必要があり、
キュービクルの中には、変圧器・配電設備のほかに保護動作に必要な遮断機・保護継電器などを収納します。
また、電気の使用状況を監視する計測装置・制御機器なども設置します。
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上述の通り、発電所で作られた電気は数十万ボルトの超高圧のまま変電所へ送られ、
変電所で超高圧の電気を数万~数千ボルトの高圧電力にまで下げて電柱や送電線に送電しています。
一般家庭の場合は、送られてきた高圧電力を電柱に取り付けられた
変圧設備(柱上トランス)で100V~200Vの低圧電力に下げてから供給する仕組みになっています。
そして、それぞれの家庭に供給された電気は分電盤の中にあるブレーカーで調整され、
電気の使い過ぎや漏電時に自動で遮断できるようになっています。
しかし、50kW以上の多くの電力を使用する場合は、柱上トランスだけでは変圧できる容量が足りないことから、
高圧受電契約を結ぶことで変電所から直接高圧の電気が送られ、キュービクルで電圧を調整します。
キュービクルは、柱上トランスと同様に高圧の電力を変圧し、
建物の電気設備に不具合が生じたときにほかの設備・建物にまで影響が及ばないように、電気の供給を遮断する保護動作も行います。
高圧受電契約の場合は、キュービクルが電気の調整のすべてを担っていると考えてよいでしょう。
キュービクルを設置するメリットは?
キュービクルは、高圧受電契約を結んでいる建物・設備に設置が義務付けられているものですが、
最近はタワーマンションのような大規模マンションでも設置することがあります。
では、キュービクルを導入することでどんなメリットがあるのでしょうか。
●電気料金を安く抑えられる
キュービクルを設置すると、電力会社の変電気を通さずに自社で電気を管理することになるため、
高圧電力は低圧電力に比べて電気料金の単価が割安に設定されています。
つまり、低圧電力よりも電気料金を安く抑えられるというメリットがあります。
そのため、この単価の違いを活用してマンションにキュービクルを追加で設置して、電気代の節約につなげる管理会社も出てきています。
●コンパクトでメンテナンスが簡単である
キュービクルは、箱の中にすべての機器が格納されています。
そのため、現場の取り付け工事を簡単に行えますし、定期的な保守点検作業も容易なため、
メンテナンス性に優れていることもメリットに挙げられます。
キュービクルを設置した後の保安点検は「義務」
キュービクルを設置するということは、高圧の電力を扱うということになります。
そのため、毎月の日常点検と年1回の年次点検が義務とされているため、
メンテナンスが用意とはいえ、電気主任技術者の資格を持った業者に委託しなければいけません。
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キュービクルを製造・販売しているメーカーは多数あるものの、
建物・設備の用途や場所によって大きくカスタマイズする必要があるため、
大規模施設では特注となるケースが多いようです。
小・中規模の施設においては既製品を設置できるケースが多く、初期費用の削減につながります。
キュービクルの設置費用や保守点検のコストこそかかりますが、
毎月の電気料金が抑えられることから、長期的視野に立てばコストパフォーマンスに優れていると思われます。
そのため、ライニングコストも含めて試算し、コストの削減につながる場合はキュービクルを新たに設置する方法を採るというのもひとつの方法です。
しかし…キュービクルの耐用年数は意外と短い?
このように、キュービクルは定期的なメンテナンスが義務付けられているため、
耐用年数は長いように思われますが、製造会社や製品によって差があります。
多くの製品が20年前後の耐用年数となっていますが、キュービクルにはさまざまな機器が使用されていることから、
こまめに交換が必要な部品や長期間使用できる部品が混在していて、
さらに法定耐用年数と実用耐用年数の2種類にも差があるため、メンテナンスにより最適な状態を保っておくことが求められます。
ちなみに、法定耐用年数は工業標準化法のJIS規格に基づいて定められています。
しかし、実際のところ、製造会社の技術の向上により良い部品を製造しているため、
実用耐用年数は法定耐用年数よりも長く設定されています。部品ごとの耐用年数は以下が目安となっています。
①変圧器(法定耐用年数15年・実用耐用年数20年)
②屋内用ヒューズ(法定耐用年数15年・実用耐用年数15年)
③屋外用ヒューズ(法定耐用年数10年・実用耐用年数10年)
④高圧遮断器(法定耐用年数15年・実用耐用年数20年)
⑤コンデンサ(法定耐用年数15年・実用耐用年数15年)
⑥高圧遮断器(法定耐用年数15年・実用耐用年数20年)
⑦断路器(法定耐用年数15年・実用耐用年数20年)
⑧高圧負荷開閉器(法定耐用年数15年・実用耐用年数20年)
⑨高圧カットアウト(法定耐用年数15年・実用耐用年数20年)
⑩避雷器(法定耐用年数15年・実用耐用年数15年)
⑪計器用変成器(法定耐用年数15年・実用耐用年数20年)
⑫保護継電器(法定耐用年数15年・実用耐用年数20年)このように、実用耐用年数は法定耐用年数よりも5~10年ほど長く設定されていますが
製造会社によって違いがあるので、キュービクルを導入する際に確認するようにしましょう。
法定耐用年数の考え方
法定耐用年数は実用耐用年数より短いのが一般的ですが、高圧電力という危険を伴うものを扱っていますので、
最低限安全に使用できる年数で設定されているものと考えておきましょう。
つまり、法定耐用年数を過ぎたらすぐにキュービクルが使えなくなるのではなく、
最低限の安全を確保できる年数であり、メンテナンスをこまめに行うことで法定耐用年数よりも長く使うことができます。
法定耐用年数は、機器が安全に使用できる期間の目安ですので、減価償却として会計処理をする際の基準となる年数となります。
減価償却は、時間が経過する中で価値が減少してしまう固定資産を購入したときに、
購入費を耐用年数に応じて分割して1年ずつ会計処理を行う方法ですので、
購入した物を使用した期間ではなく法定耐用年数をもとに計算することになっています。
最も簡単な減価償却の計算法としては、定額法があります。
これは減価償却の対象となる製品の購入代金を法定耐用年数で割り、毎年同額ずつ計上していく方法です。
例えば、法定耐用年数が15年と定められているキュービクルを240万円で購入した場合、
240万円を15年で割った金額である16万円を1年ずつ経費として計上します。
また、定額法以外に定率法という計算方法もあるのですが、さらに細かい計算が必要になるため定額法で計上するのが良いでしょう。
ちなみに、減価償却の例外として、10万円未満の製品は消耗品費として計上することが可能です。
また、従業員が1000人以下の個人事業主や資本金が1億円以下の法人企業の場合は、
購入費が30万円未満であれば、青色申告により一括で減価償却費として計上することが可能になっています。
耐用年数=寿命という意味ではない
耐用年数以外には、寿命という考え方もあります。
キュービクルの場合、メンテナンスにより寿命を延ばすことができるので
「法定耐用年数<実用耐用年数<寿命」と考えられます。
メンテナンスをきめ細やかに行うことで、実用耐用年数を超えた寿命まで使用することができます。
当然の話ですが、メンテナンスを怠ると法定耐用年数以下でも交換・修繕が必要になることもあります。
上述の通り、キュービクルで使用されている部品は寿命に差があるので、
月次点検・年次点検で細かいチェックが必要になりますし、
高電圧の電流が流れているケーブルやトランスのような負荷が多くかかる部品は消耗が早いので、こまめな交換が必要になります。
しかし、メンテナンスをしっかりしておくことで30~40年以上に渡って使用できているケースもあります。
メンテナンスを怠ったときのリスク
キュービクルのメンテナンスを怠るとどうなるのか…当然ながら寿命が縮まってしまいますが、
それ以上に大きな問題が発生するリスクがあります。
それは、劣化が進むことにより想定外の事故が発生してしまうことです。
キュービクルの劣化による事故について、キュービクルがどの場所に設置されているかにより起こりうる事故は変わってきます。
屋内に設置されているキュービクルの場合は、
ほこりの蓄積による火災や漏電が起こりやすくなります。
点検が行われていたとしても、清掃がしっかりとされていない場合は、
ほこりが原因となって漏電事故が起こるリスクが高くなります。
漏電が起こると火災へつながる危険性も高くなるので、清掃もしっかり行いましょう。
また、屋外の場合は雨風によりケーブルや外箱の劣化が進むことがあり、そこから砂埃や雨が入り込み漏電を引き起こすリスクが高くなります。
また、鉄製の部品に関しては錆が発生することがあるので、錆びついている部分はすぐに修繕するようにしましょう。
すぐに漏電が起こるわけではないのですが、放置しているといつのまにか被害が拡大し、
事故が起きてしまうことがあるので注意が必要です。
そして、海沿いに設置されているキュービクルは、塩害が起こるリスクが高くなります。
当然ですが、内陸に設置されているキュービクルよりも劣化スピードは早くなってしまいますので、こまめなメンテナンスが必要になります。
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そのキュービクルのメンテナンスを行うのは、電気主任技術者の資格を持った専門職の人たちです。
月に1度の目視による点検、年に1度の細かいチェックが義務付けられています。
まずは月次点検ではキュービクルが正常に稼働しているか、修繕が必要な部分はないかを確認します。
個所はないかなどのチェックを行います。そして年次点検で、キュービクルの使用をいったんストップし停電状態にして、
月次点検ではチェックしていない内部を中心にメンテナンスを行います。この作業をすることで、漏電や火災のリスクを回避し事故を防止します。
自然災害による被害は火災保険が適用されるケースも
キュービクルはしっかりとメンテナンスを行えば、15年の法定耐用年数を超えて30年以上も使い続けることができます。
そのためにも電気主任技術者による保守点検が大切になってきます。
もしその際に、自然災害によるものと思われる被害が見つかった場合は火災保険が適用されるケースもありますので、
火災保険の活用に慣れた請求相談センターのような専門業者に相談してみるというのも選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
火災保険が適用されれば、無料で工事ができる場合もありますので有効に活用しましょう。
記事監修:矢島 弘子 |
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火災保険請求・地震保険請求アドバイス業務に従事。年間200棟の調査を13年間継続して行い、 建物調査後の損害鑑定人との立ち合いや交渉も行っている。 外部の敷地内の申請はもちろん室内の汚損・破損の申請や給排水設備の申請も得意とし、 家財保険かけている方が知らないスーツのアドバイスなども行っている 東京都清瀬市周辺でも2021年10月7日の地震被害はあり、 関東圏であればどこでも無料点検はすぐにご依頼ください。 損はさせません。 |