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地震保険は鑑定人の匙加減なのか?申請のプロが考える理不尽な現状(事例も紹介)

令和6年能登半島地震

地震保険の審査は平等なのか?

地震保険の理不尽な判定が問題になっています!!

申請したがその判定に納得がいかないという方は必ず最後まで読んでください!

『認められなかったものは全て理不尽だ!』というつもりは一切ございません。

しかし、納得のできないものが多々存在していることは事実です。

以前保険会社の保険を下ろさない事例などを挙げて多くの反響をいただきました。

今回はそれを補足するために、地震保険の基礎知識と実際承認された事例と承認されなかった事例を出して

審査のあいまいさを認識していただきたいと考えこの記事を執筆しています。

地震保険の基礎知識

地震保険とは地震・津波・噴火によって自宅が損害を受けた際使える保険です!

今回はその保障の地震の部分について解説します。

地震保険は単品で加入することはできず、加入している火災保険に特約として

追加で費用を支払い加入をします。

また地震保険は原則住宅に対して入れる保険であり、工場・お店などに関しては加入できないケースがほとんどです。

地震保険はどんなことに使えるのか?

地震といっても日本に住んでいると震度3ぐらいは日常的にあります。

では揺れたらとりあえず申請できるのか?というわけではなく

当然ですが地震に対して建物が実被害を受けた際に申請ができます。

地震保険の被害として具体的に挙げられる個所として下記のような被害に対し保険の申請ができます。

・基礎のクラック(ひび割れ)
クラック被害
・外壁のクラック(ひび割れ)
一回クラックが入ったところがまた入る

・家の傾き(床が並行でなくなって傾斜が出ている)
・家の歪み(ドアなどがあかなくなってしまった)

支払い方法が火災保険とは異なる!

地震保険の特徴として金額が定額という点があります。

火災保険では原則被害を受けた個所に関して見積もりを提出して金額が決まります。

大まかな例ですが 台風被害で屋根の瓦の割れ修理に30万円・フェンスの修理に15万円・外壁の傷に10万円

の金額がかかる場合は全て認められれば合計の65万円が承認されます(実際は鑑定会社が入り減額される可能性もある)

地震保険は実損払いではありません!

審査の基準が下記のように決まっています。

その後具体的な金額例をお伝えしますので目を通していただく程度で大丈夫です!

<建物の地震保険>

保険の判定(支払い)基準
全損(地震保険金額の100%)地震等により損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が、時価額の50%以上となった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の70%以上となった場合
大半損(地震保険金額の60%)地震等により損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が、時価額の40%以上50%未満となった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の50%以上70%未満となった場合
小半損(地震保険金額の30%)地震等により損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が、時価額の20%以上40%未満となった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の20%以上50%未満となった場合
一部損(地震保険金額の5%)地震等により損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が、時価額の3%以上20%未満となった場合、または建物が床上浸水もしくは地盤面より45cmをこえる浸水を受け、建物の損害が全損・大半損・小半損・一部損に至らない場合

財務省ホームページ地震保険の制度の概要(保険金の支払い)から抜粋

〈地震保険の支払い例>

細かく書かれておりますが支払いはシンプルです!

地震保険の例えば保険金額が1000万円であれば下記のような支払いになります!

①建物被害なし~被害が3%未満=0円
②建物被害3%以上~20%未満=50万円の支払い
③建物被害20%以上~40%未満=150万円の支払い
④建物被害40%以上~50%未満=600万円の支払い
⑤建物被害50%以上1000万の支払い

※時価額が限度

調査は鑑定会社が行う

地震保険の申請をした際には被害率を調査するため

現場に保険会社から委託を受けた鑑定人が調査に入ります。

実際に建物の寸法を測る事と被害箇所の確認することが目的です。

それを元に損壊率を計算します。

建物の構造により判定の基準が異なる!?

建物の種別により判定の基準が変わります。

例えば木造と鉄筋の物件で判定の基準が変わります。

また同じ木造であっても在来工法、ツーバイフォーなど工法によって

判定の基準が異なります。

判定の基準本当に決まってる?

問題となっているのはその審査の判定の仕方にあります。

支払いの基準は公表されていますが、その判定の基準が曖昧な事が多くのトラブルが起こっている要因です。

人によっては太さが3mm以上のクラックであれば認めるという方もいれば

クラックの太さは関係なく古いという理由からクラックがあるにもかかわらずそのひび割れ自体災害に含まれないという事も?

明らかに鑑定人によりその判定がバラバラであり、現場で権限を持っているため

人によってははじめから認めないことを前提に話を進めていくような悪質な鑑定人もいます。

実際に1回目の鑑定で1本もひび割れが認められないかたが納得できず他の鑑定人に来てもらった結果

判定が変わったこともありました。

審査の基準はブラックボックスなのが問題!?

保険会社はこの判定の基準を一切開示していません。

現場の鑑定人に聞いても教えてはくれません。

基準がわからなければ建築知識がどれだけあってもその鑑定が適切だったか判断することができません。

家によっては基礎のクラック1本で損壊率がプラスで1%の計算がされています。

その1本のクラックの差で一部損が否決になってしまったら・・・

その一本で50万円認められるはずが鑑定の差で0円になってしまったら・・・

そのような問題が実際起きています。

一定の支払い金額が決まっている故にその差は大きいといえるでしょう。

一般の方では家を複数棟持っていない限り比べることはできない、疑問にすら思わない事が大問題です。

今回は実際に保険が一部承認の被害があった事例を1件紹介します。

もしかしたらその被害の小ささにこれで承認されたのか!?と驚くかもしれません。

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実際の地震保険一部損承認事例!

場所:東京
事故の日付:2022年3月16日
判定:一部損承認(500,000万円)

地震があったことは自覚があり、壁に1か所のひび割れに気づいていて調査に入らせていただいた物件です。

被害は5か所です。

では実際見ていきましょう!

基礎のクラック①

一部損承認の基礎のクラック

基礎のクラック②

一部損承認の基礎のクラック②

外壁のクラック①

一部損承認の外壁クラック

外壁のクラック②

一部損承認の外壁クラック

外壁のクラック③

一部損承認の外壁クラック

この画像の基礎のヘアークラック2か所・外壁の窓からのクラック3か所で一部承認が認められました。

鑑定が来てから約1週間前後で承認の連絡がきています。

これより損害がひどい場合でも下りていないっケースも・・・

先ほどの事例は実際に一部損下りたものなので被害が少ないとは言い難いのですが

これよりクラックの数が多くクラックの太い自宅が承認されない事例がいくつもある事が問題なのです。

冒頭でもお伝えしましたが全ての被害を認めてくれという事を伝えたいのではありません。

地震保険の判定の基準は国で定められたものであり、会社ごとに基準が違うといった事はありません。

人がやっている事なのである程度のヒューマンエラーはしょうがないと思います。

しかし基準自体が鑑定人の匙加減になってしまっては加入している意味があるのでしょうか?

地震保険の特約は追加と言っても決して安いものではありません。

そして被害が起こったときに忖度なく平等に支払いされるのが保険という仕組みのはずです!

地震保険の判定で不服があるという方はお気軽にご相談ください!

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記事監修:矢島 弘子


火災保険請求・地震保険請求アドバイス業務に従事。年間200棟の調査を13年間継続して行い、建物調査後の損害鑑定人との立ち合いや交渉も行っている。外部の敷地内の申請はもちろん室内の汚損・破損の申請や給排水設備の申請も得意とし、家財保険かけている方が知らないスーツのアドバイスなども行っている東京都清瀬市周辺でも2021年10月7日の地震被害はあり、関東圏であればどこでも無料点検はすぐにご依頼ください。損はさせません。

 

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