家を新築で購入した場合の建物や、引越しに合わせて購入した家財は、新築価格や購入価格そのものがそれらの建物・家財の価値となります。
しかし、時間が経過すると老朽化などの原因から物の価値は下がっていきます。
住宅の購入時には、火事や自然災害の被害を補償してくれる火災保険に加入することがほとんどだと思いますが、この火災保険の契約時に補償対象となる建物・家財の価値を正しく評価しなければなりません。
この評価額を「保険価額」と呼んでいます。
また、万が一被害が発生した際に支払われる損害保険金の上限を「保険金額」と呼ぶのですが、この「保険金額」のベースとなるのが「保険価額」です。
なので適切な「保険価額」を設定することが火災保険の正しい運用に密接に結びついています。
そのため、「保険価額」と「保険金額」がどのような関係性にあるのかをしっかりと理解しましょう。
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火災保険の契約時に必要な情報
火災保険の契約は、不動産会社や金融機関が流れ作業で進めてしまうことが多く、その詳細がわからないまま契約してしまうという人も多いのが実情です。
しかしながら、事前に保険商品の比較・検討ができれば、一番自分たちのライフスタイルに適した保険契約が実現し、無駄のない火災保険の契約ができるはずです。
そのためには、事前に火災保険についての理解を深め、必要書類を把握しておくことが大切になります。
火災保険料を計算する時に必ず必要な情報は、「住所」「建物構造」「延床面積」の3つです。
この3項目によって火災保険料は大きく変化します。
住所に関してはわからないということはないと思いますが、「建物構造」「延床面積」については必要書類を確認する必要があるかと思いますので、それらがわかる書類をまとめておきましょう。
●建物の評価算出に必要な書類
建築工事の請負契約書(新築当時の建築費を確認することが必要になります)などの書類を用意しておくと、保険料を計算する上で必要な情報がすぐに確認できますので、見積が取りやすくなります。
また木造建築では、その構造に応じて「T構造」「H構造」という2種類の構造級別にわかれていて、そのいずれに該当するかによっても保険料が変わります。
T構造とは耐火構造のことで、木造建築でありながら火に強い構造になりますので保険料は安くなります。
このT構造の建物は「耐火建築物」「省令準耐火建築物」「準耐火建物」と呼ばれるものです。
この中の省令準耐火物とは、建築基準法で定めるところの準耐火構造に準ずる防火性能を持つ構造のことで、住宅金融支援機構が定めている基準に適合している住宅全般のことです。
例えば、枠組壁工法(ツーバイフォー工法という名前でよく知られています)や木質系プレハブ、木造軸組み工法などが該当します。
H構造は「非耐火構造」のことで、T構造以外の木造建築を指します。
ちなみにマンションなど共同住宅はM構造(マンション構造)と呼ばれています。
そして、このような条件を鑑みて「保険価額」をベースに「保険金額」を決定します。
新価・時価とは?
まず保険価額についてですが、「新価」「時価」という2通りの考え方で設定することになります。
新価とは、今あるものと同等の建物・家財を購入する時に必要な金額のことで、時価とは、今あるものと同等の建物・家財を購入する時に必要な金額から、老朽化したと考えられる消耗分を差し引いたものです。
いうなれば、建物・家財の「現在の価値」と言い換えられるものです。
そして、保険金額とは被害が発生した時に保険会社が保険契約に基づき支払う、いわゆる「保険金」の限度額のことです。
この保険金額は保険価額をベースにして契約時に設定するものですので、新価・時価の基準を理解しておくことが大切です。
では、どのようなことに気をつけながら、保険金額の設定をすれば良いのでしょうか?
●時価を基準に設定する場合の例
契約者Aは、15年前に3000万円の住宅を新築で購入しました。現在、この家と同等の建物を新築しようとすると、物価の上昇の影響で4000万円(新価)となります。
この4000万円から10年間が経過したことによる価値の減少を考えると、消耗分にあたる1500万円を差し引いた現在の価値は2500万円(時価)と考えられます。
この建物が火災で全焼した場合、時価を基準に保険金額を設定していると、その消耗分により修理費が全額補償されない可能性があります。
また、同等の住宅を新たに建築・購入する費用も補償されないリスクがあります。
そのため、新価を基準に設定しなければリスクが高いことがわかります。
●保険金額=新価に設定する「全部保険」
①新価よりも保険金額を低く設定する「一部保険」
この場合は、新価よりも低い金額が上限になりますので、被害の一部しか補償されない契約になっている状態です。その状態を表すように「一部保険」と呼ばれています。
②新価よりも保険金額を高く設定している「超過保険」
この場合は保険金がたくさん出そうなイメージがありますが、火災保険の補償金額の上限は新価になってしまうので、新価以上の保険金額に対する掛け金は無駄になってしまいます。
③新価と保険金額を同一に設定する「全部保険」
この場合は、損害額に応じた保険金も支払われますし、万が一の事態に対しても無駄もない状態となります。
この「新価=保険金額」の状態を「全部保険」と読んでいます。
つまり、保険金額の設定として正しいのは「全部保険」だということになります。
どこの火災保険会社が良いか…商品別の特徴
このように、万が一の被害から住宅を守ってくれる火災保険ですが、専門的な部分も多く、その中身は複雑であり、普段目にしない人には分かりづらい部分もあります。
そのため、商品の見極めが難しいとも言われていますが、最近は保険会社が独自の商品を開発し、わかりやすい保険も多く出てきました。
とはいえ、火災保険は築年数・建物の構造・地域などにより掛け金が変化することから、それぞれの商品のメリット・デメリットが存在します。
そのため、最初から保険会社もしくは商品を決めてしまうよりも、複数の保険会社の商品を研究することが大切です。
ではここで、大手火災保険会社の商品の特徴を紹介しましょう。
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●AIG損保 「スイートホームプロテクション(ホームライフ総合保険)」
AIG損保が提供している「スイートホームプロテクション」は、シンプルながら納得感・安心感が高いといわれている火災保険です。
というのも、このスイートホームプロテクションでは、自分が望む補償だけをセレクトできるというシンプルな構成になっているからです。
自分でセレクトするので、不要な補償がなくなり、すっきりした火災保険ができあがります。
また、地震大国・日本において、スイートホームプロテクションの考え方は「地震保険に入るために加入するのが火災保険」という位置づけになっています。
そのため、ベースとなる火災保険の補償をシンプルにすることで保険料を低くすることができます。
そして、火災保険料を下げることで、地震保険との総額も低くなります。
●セゾン自動車火災 「じぶんでえらべる火災保険」
セゾン自動車火災の「じぶんでえらべる火災保険」はその名に偽りなく、必要な補償を自分でセレクトできるので無駄な保険料を支払う必要がありません。
他社の商品でも、自由設計ができる火災保険は増加していますが、セゾン自動車火災は自由設計の先駆者ということもあり、その補償の充実度には目を見張るものがあります。
しかしながら、特約オプションとなっている個人賠償責任保険について、補償額は無制限であるものの示談交渉サービス(相手方との仲裁サービス)がないというデメリットもあります。
●三井住友海上 「GKすまいの保険」
建物の損害に「修理保険金」が使えるのが、三井住友海上の「GKすまいの保険」です。
この「修理保険金」とは、自分はもちろん同居している親族が自動車で補償対象の建物(門・塀・垣などを含んでいます)を破壊してしまった場合も、破損・汚損補償を付帯していれば保険金を受け取れるというシステムです。
また、地中に埋まっている浄化槽などの建物付属設備に対してもこの「修理保険金」は支払われます。
そして、三井住友海上の特徴は、火災保険の損害の認定から保険金支払いまでのスピードが他社よりもスピーディーという自己統計を持っていることです。
火災保険を活用した修理を行うということは、それなりの被害が出ていると思われるので、このスピード感は強みといえるでしょう。
●損保ジャパン日本興亜 「THEすまいの保険」
損保ジャパン日本興亜の「THEすまいの保険」は、大手損害保険会社ならではの安心感・安定感が特徴です。
大手というと保険料が高いというイメージが付きまといますが、「THEすまいの保険」に関しては色々な補償が幅広く充実させる特約も豊富で、自己負担額をセレクトできるような商品設計になっています。
つまり、自分が補償してもらいたいリスクと掛け金のバランスを取りながら検討できるのが強みです。
また、現在の火災保険の長期契約の限度は10年であり、うっかりしていると10年後に火災保険がきれてしまっていることがあります。
しかし、「THEすまいの保険」は更新サポート特約で自動更新できるというメリットもあります。
そして、「すまいとくらしのアシストダイヤル」というサービスも特徴になっています。
これは、オプションではなく無料付帯されているサービスで、急な鍵や水回りのトラブルに関するサービスがあったり、法律・住宅・税務・医療・介護といった様々な専門的な分野の相談サービスも活用できたりという優れものです。
火災や自然災害による被害の補償だけではなく、日常生活を送る上でのサービスが充実しているのは「THEすまいの保険」ならでは、といえます。
●富士火災 「未来すまいる」
富士火災の「未来すまいる」は、割安の火災保険として知られています。
火災保険で補償されるのは火災・落雷・破裂・爆発といった火災リスクと台風・大雪・雹などの自然災害リスクですが、火災リスクのみというオプションがあるのが特徴です。
自然災害リスクと比較し、火災リスクは損害額が高くなる傾向があるので、火災リスクのみの補償が受けられるのは大きなメリットになります。
また、パソコンや携帯電話から契約できるWEBシステムも充実していて、WEBを通じた申込では保険料が10%割引されることも魅力的です。
火災保険料を低く抑えるためには、最強のプランともいわれています。
●東京海上火災 「トータルアシスト住まいの保険」
東京海上火災保険の「トータルアシスト住まいの保険」のポイントは、「4つのアシスト」という独自のサービスです。
単身赴任で家族と遠く離れているケースや、高齢者の単独世帯などの事故・災害・防犯情報をWEBで見ることができる「事故防止アシスト」や、緊急医療相談や医療機関案内が利用できる「メディカルアシスト」などのサービスが充実しています。
有料オプションになりますが、「緊急時助かるアシスト」を付帯すると、鍵の紛失や水回りのトラブルなど緊急事態に対応してもらえます。
また、東京海上火災は損害保険会社としての知名度が高く、保有契約数はナンバーワン、事故対応件数も多く豊富な実績を誇っています。
ちなみに、一戸建ての保険料は割安だといわれていて、「失火見舞費用保険金」が自動付帯されているので万が一の火事の際にも強い味方になってくれることでしょう。
このように、火災保険はさまざまな保険会社がオリジナルのサービスを提供していますので、現状にあった保険をセレクトするようにしましょう。
もちろん、今回紹介した保険会社以外のサービスもありますので、火災保険の契約前に自分のライフスタイルなどにマッチした火災保険を選ぶことをおすすめします。
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記事監修:矢島 弘子 |
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火災保険請求・地震保険請求アドバイス業務に従事。年間200棟の調査を13年間継続して行い、建物調査後の損害鑑定人との立ち合いや交渉も行っている。外部の敷地内の申請はもちろん室内の汚損・破損の申請や給排水設備の申請も得意とし、家財保険かけている方が知らないスーツのアドバイスなども行っている2021年12月3日の地震被害はあり、関東圏であればどこでも無料点検はすぐにご依頼ください。損はさせません。 |