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現場の塗装に必要なケレンとは何?その必要性を理解しよう

公開日:2022年1月15日

住宅の塗装工事にとって大切な作業の一つに、「ケレン」というものがあります。

このケレン、建設業界ではよく使用されている専門用語で、住宅の塗装をする時に塗装部分の劣化や錆を研磨して除去する作業のことを指します。

実は、この作業こそが塗装工事の成否の分かれ目ともいえる大切なものなのです。

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そもそも「ケレン」とは何か

 

ケレンとは、外壁や屋根などに使われている部材に施す作業で、木部と金属部に施すことになります。

例えば、縁側やウッドデッキなどが木部の代表的なもので、トタン屋根などが金属部の代表的なものです。

 

このケレンをすることで、塗装部分の表面を均一に滑らかにすることができます。

ケレンという言葉は、英語の「clean」(きれいにする)が転じて「クリーン→ケレーン→ケレン」になったといわれています。

 

このように、塗装の邪魔をする油脂や異物をきれいにすることで、

塗料のノリを良くする作業のことをケレンと呼んでいます。このケレンをすることで、以下のような効果が期待できます。

錆が付きにくい外壁を作る効果が期待できる
トタン屋根のような金属部に錆がついてしまった場合、その錆を残したまま塗装工事を行うと、

どんなに良質な塗料を使ったとしても錆の浸食は止まりません。

錆の浸食は非常に強く、塗装だけでは防ぐことができないのです。

 

しかし、「ディスクサンダー」と呼ばれる研磨工具でケレン作業を行い錆を除去すれば、

錆が付きにくい外壁になり、その上に塗装を施すことで見た目はもちろん耐候性も期待できます。

 

汚れを除去して塗膜の密着力を高める効果が期待できる
外壁や屋根は、常に外気に触れている場所ですのでいつのまにか汚れがついてしまいます。

塗装工事の時には洗浄作業を行うものの、中には酷い汚れが残ってしまうこともあります。

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しかし、この状態で塗装工事を進めてしまうと、せっかくの新しい塗装もすぐに剥がれてしまいます。

塗装というものは、コーティング機能を持っている塗膜によって表面を覆うのですが、

古い塗装の上に新たな塗装を施す場合は双方の塗膜が密着部分になります。

 

その古い塗装に大きな汚れがあると、その汚れが邪魔をして密着具合が弱くなってしまいます。

このようなことにならないように、ケレンを行って酷い汚れを除去すれば問題なく新旧の塗膜が密着します。

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毛羽立ちを除去して塗膜の密着力を高める効果が期待できる
木材は、表面の繊維が浮き上がる「毛羽立ち」という現象が起きることがあります。

この毛羽立ちが起こると、木の表面がギザギザになってしまいます。

 

毛羽立ちはウッドデッキのように全面が木部になっている箇所で発生することが多く、

この状態で塗装をしても塗料がうまく乗らずすぐに剥がれてしまいます。この場合もケレン作業を行い

研磨工具で毛羽立ちを除去してから塗装を施すことで、塗膜の密着性を高めることができます。

ケレンの種類について

 

ケレンには、作業レベルによって4つの段階があります。

それぞれ、どのような作業内容なのかを紹介していきましょう。

●1種ケレン
1種ケレンは、特に錆や腐食などが激しい場合に行われる作業で、

ブラスト工法(ブラスト処理)

という方法で赤錆や黒皮などを完全に除去します。

鉄肌を完全に露出させる工法ですが、この1種ケレンは主に道路や大きな橋などで行われるので、

一般の住宅ではほとんど行われません。

 

住宅の外壁で1種ケレンが必要なレベルになっている場合は、

ケレン作業を行うのではなく、外壁材の張り替えを行うことが多いです。

このブラスト工法では、強力な噴射力の機械で研磨剤を吹き付けて、

汚れと古い塗膜を剥がしてから、金属面にわざと傷をつけて塗料が付着しやすい表面に仕立てます。

作業中に粉末状の塗料や研磨剤が飛び散ることから、

作業を行う時は周囲を飛散防止シートで覆い、吸引機を作動させます。

研磨剤や汚れの飛散だけでなく騒音も発生するので、近隣への配慮が必要な作業になります。

 

●2種ケレン
金属部の錆が外壁全体の30%以上が目安になるのですが、

かなり腐食が進んでいると判断された場合は、2種ケレンを行います。

この作業では、古い塗膜や錆を除去して完全に外壁の金属部分を露出させます。

先述のディスクダンサーやワイヤーホイルといった動力工具と、

ハンマーやスクレーパー、ワイヤーブラシといった手工具を併用して作業を行います。

 

 

2種ケレンと1種ケレンの大きな違いは、薬剤を使わないことです。

 

2種ケレンでは、電動工具や手工具だけで外壁の金属面が完全に露出するまで削ります。

塗膜の表面のみを取り除く工法なので内部まで浸食した錆の除去はできないのですが、

表面の光沢を出して塗料が付着しやすい状態を作ります。基本は電動工具を使用しますが、

電動工具が使えない細かい箇所は手作業で行います。

●3種ケレン

3種ケレンは、金属部の錆がおよそ外壁全体の5~30%といった軽度な場合に行われるケレン作業です。

劣化していない塗膜のことを「活膜」と呼ぶのですが、

この活膜部分は残しておいて、主にハンマーやスクレーパー、

ワイヤーブラシなどの手工具を使用して錆を除去していきます。

 

最後の仕上げは、研磨紙刷りで行います。

部分的に錆や剥がれが発生しているタイミングで塗装工事を行うことが多いので、

外壁塗装のメンテナンスでは最もよく採用されている方法です。

 

●4種ケレン
金属部の錆が外壁全体の5%以下という、軽微な被害状態の時に行われるケレン作業です。

塗膜の膨れやひび、剥がれが多少見られる状態の場合は、

ワイヤーブラシやサンドペーパーで表面を軽くきれいにする程度の作業で終了します。

 

●その他のケレン
木材の場合は、スクレーパーやサンドペーパー、皮すきなどを使って毛羽立ちやコケなどを除去します。

密着性が残っている活膜はそのまま残し、最終的にはケレン作業を行った場所と密着性のムラがないように仕上げていきます。

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それが、サンドペーパーなどを使って行う「目荒らし」です。

これは、塗料が密着しやすいようにわざと細かい傷をつける作業で、塗膜をしっかりと密着させるためには必要な作業です。

 

また、サイディングの場合は通常の高圧洗浄では落とし切れない

塗膜の膨れ・剥がれ・汚れがある場合は、皮すきやディスクサンダーでそれらの異物を除去します。

カビが発生している場合は、防カビ・防藻剤を塗布して再発を防止します。

 

ケレンの相場はどれくらい?

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一般住宅で行われるケレン作業は2~4種までですが、その価格の相場は1平方メートルあたり200~2000円となっています。

1種ケレンのレベルまで浸食が進んでいる場合は、外壁材の交換になることが多いので、その外壁材によって価格は大きく変わります。

 

塗装工事の見積書には、ケレンの1平方メートルの単価を記載する場合があるのですが、

付帯部分と呼ばれる屋根や外壁以外のケレン作業については「一式」と記載されて、

その合計金額が記載されることも多いようです。

 

このようなケースでは、ケレン作業を行う面積を正確に出すことは難しいということなのですが、

この場合は「どの部分にケレン作業を行うのか」を明示してもらうのが良いでしょう。

 

見積書にケレン作業が入っているかを必ずチェックしよう

 

ちょうど見積書の話が出たので、もう少し詳しく紹介しておきましょう、

見積書というのは、依頼主と業者の間の約束を明文化したもので、

「どの工事にどれだけの金額がかかるのか」を書面に落としたものです。

 

ケレン作業については、「ケレン」と表記されることが多いですが、

木部やサイディングの場合は「研磨紙刷り」と表記されたり、

ケレンに変わる言葉として「錆落とし」「目荒らし」「素地ごしらえ」「下地処理」と表記されたりすることもあります。

ここで大切なのは、ケレンもしくはケレンと同じ内容の作業が見積書にしっかり記載されているかをチェックすることです。

 

この記載がなければ、ケレン作業を行わず塗装工事を行われて、

すぐに不具合が起こってしまうリスクを抱えてしまうことになります。

このケレンに関して不明点がある場合は、必ず業者に確認するようにしてください。

 

作業の透明性が確保されているかをチェックする

 

一般住宅に塗り替え工事の際には、監督者がいない場合が多くあります。

つまり、ケレンの品質管理は作業担当者に委ねられることになるのですが、

この作業担当者がどれだけ丁寧にケレン作業をしてくれるかによって、塗装工事のその後が決まります。

 

しかし、ケレン後に塗装することになるため、塗装が仕上がった状態の屋根や外壁を見ても、

どれだけのケレン作業が行われたかはわかりません。

そのため、ケレン作業が行われる工程を理解して、塗装工事全体のスケジュールを把握しておくことがポイントになります。

 

塗装工事の後に、すぐに塗膜が剥がれてきてしまった場合は、ケレン作業が完全に行われていなかった可能性があります。

 

ケレンの重要性①「塗料の目的を果たす」

もしケレン作業で手抜きが行われていた場合、どのような状態になってしまうのでしょうか。

最近は、ホームセンターでもプロ仕様の工具や塗料が買えるようになりましたので、

自分で塗装を行うDIYで何とかしようと考える人も多くいます。

 

あまり汚れていない(という勘違い)と考え、

ケレンの重要性を知らないままそのまま塗料を塗ってしまうと、すぐに塗料が剥がれてきてしまいます。

 

塗装によって美観を守り素材を保護するつもりが、逆に塗料はボロボロ、素材の錆は取れていないためさらに浸食が進むとなると、

完全な逆効果です。

 

ケレンをさぼることで、余計に住宅にダメージを与えてしまうリスクがあります。

塗膜の剥離が起こっているということは、錆や汚れを落とさないまま塗装をしてしまっているということです。

また、表面に少しの傷がついていない状態では塗料はしっかり密着しないので、そのような工夫がないまま塗装をするのも危険なのです。

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ケレンの重要性②「塗料の種類や重ね塗りよりもケレン」

ケレンの効果は、数字の上でも証明されています。

以下の数字は、各作業が塗膜の寿命に及ぼす影響をまとめたものです。

 

・ケレン 49.5%
・塗り回数(1回塗りと2回塗りの差) 19.1%
・塗料の種類(シリコン系やウレタン系の違いなど) 4.9%
・塗装技術や気候 26.5%
※関西鋼構造物塗装研究会発行『塗る : やさしい塗装のはなし』より引用

このように、ケレンが塗膜の寿命に及ぼす影響は50%近くにも及び、

塗料の種類による影響の10倍もの影響力を持っています。

また、塗装工事の基本は「三度塗り」ですが、塗る回数を増やすよりもケレンをしっかりと行うことがいかに大切かもわかると思います。

 

ケレンの重要性③「金属が錆びる理由から考える」

 

ケレンの目的のひとつに「錆を落とす」ことがあります。

そもそも金属はなぜ錆びてしまうのか…。

金属は鉱石の状態で地球上に存在しているのですが、

この鉱石に莫大なエネルギーをつぎ込んで一部の成分だけを取り出したのが金属と呼ばれるものです。

 

鉱石よりも強固な物質である人工的創造物の金属が、

元の鉱石の状態に戻ろうとする自然現象の中で発生するものなので、

その浸食を防ぐためには人為的な作業が必要になってしまいます。

錆の中には水分や腐食性イオンが存在していますが、

鉄鉱石から酸素を分離して作られた鉄はこの酸化物にまた戻ろうとするので、空気中の酸素や水分と結びついて錆が発生してしまいます。

 

鉄でいうと酸化鉄、銅でいうと酸化銅に戻ろうとするわけです。

何も対策をしなければ錆は発生してしまうのが自然なのですが、

この錆の浸食が進むと素材が弱くなり、美観的にも良くありません。そのため、ケレン作業を行って錆をしっかり落とすという下地処理が重要になるのです。

 

ケレン作業の重要性を知ればスルーできない

 

なぜケレンをするのか、それは塗料の素材への乗りをよくするためです。

素材への密着度が高くなれば、新旧の塗膜同士が強固につながり、剥がれにくい長持ちする外壁が出来上がります。

このケレンの重要性を理解しておけば、工事の依頼時や見積書のチェック時に役立ちますし、

手抜き工事の回避というリスクの軽減を図ることができます。

 

このように、塗装工事の前には、まずケレン作業が必要になります。

塗料の本来の耐用年数を実現させるためには、ケレン作業をスルーするわけにはいきません。

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記事監修:矢島 弘子


火災保険請求・地震保険請求アドバイス業務に従事。年間200棟の調査を13年間継続して行い、建物調査後の損害鑑定人との立ち合いや交渉も行っている。

外部の敷地内の申請はもちろん室内の汚損・破損の申請や給排水設備の申請も得意とし、

家財保険かけている方が知らないスーツのアドバイスなども行っている

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