2021年12月28日 公開
旅館も台風・大雪のリスクはある!?火災保険は活用可能なのか解説します!
日本では国際会議やスポーツイベントが急増し、さらに観光ブームも手伝って多くの観光客が訪問しています。
これまでは季節によって混雑具合がまだらだった旅館においても、常に満室の状態が続き、リスクは増え続けているといって良いでしょう。
お客さんが増えることはいいことではありますが、リスクが増え、それに対応できないのでは意味がありません。
実は、各保険会社では旅館が抱えるリスクを回避するための保険商品を販売しています。その中のひとつが火災保険です。では、旅館も火災保険に加入する必要はあるのかを考えてみたいと思います。
そもそも火災保険とは何なのか
では、火災保険とはどのようなものなのか、具体的な補償内容を見ていきましょう。
- 火災
自宅から出火した場合はもちろんですが、放火や近隣の火事からのもらい火による被害も補償対象となります。
- 落雷
落雷によって屋根に穴が開いたり、過電流により電化製品が壊れたりといった被害が起こることがたびたびあります。過電流は落雷が離れた場所でも、起こる可能性があります。
- 水災
台風や豪雨による洪水・土砂崩れの被害も、火災保険で補償されます。被害が起きた時の対処のためにも、自治体が公開しているハザードマップをチェックしておくことが大切になります。
- 風災・雹災・雪災
台風や強風などにより屋根が飛んだりした場合や雹で窓ガラスが割れたりした場合、雪の重みや雪崩で家が倒壊したりした場合、強烈な雹で屋根がへこんだり窓ガラスが割れた場合も補償対象となります。
アンテナが台風で飛んでしまった場合は、この風災扱いとなります。
これらのような自然災害以外でも、以下のような被害が出た時には特約(オプション)で補償することができます。
- 水濡れ
水道が壊れて浸水した場合や、マンションの上階からの水漏れが起きた場合などの補償です。
- 盗難
盗品された物品の被害はもちろん、壊された鍵や窓ガラスの修理費用も補償されます。ただし、現金や金券は補償されません。
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- 破損・汚損
子供が自宅で遊んでいるときに住宅の一部を汚してしまった、掃除中に家具が倒れて壊れてしまったなどといった被害も、特約を結んでおけば補償対象になることがあります。
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- 落下・飛来・衝突
物が飛んできて屋根や窓に被害が出たり、車が衝突したりした時の補償です。
このように、火事や自然災害以外の偶然の事故なども、オプションで補償の範囲に入れることができます。地域によっては給水管にダメージを受けやすい場合があるので、その点を補えるプランで火災保険に加入しておくと安心です。
もちろん、オプションを増やすと保険料は高くなっていきますので、バランスを考えながら加入する必要があります。
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旅館に必要な保険とは?
旅館などの宿泊施設には、人種・年齢を問わず不特定多数の宿泊客がやってきます。そして、スタッフが監視できない個室で宿泊することになります。
実はこの「個室」というのが大きなリスクをはらんでいて、スタッフの目の届かない場所で火災になる可能性があります。
そのため、旅館が火災保険や賠償責任保険へ加入することは経営上必要不可欠なものと考えられます。
では、実際に旅館のオーナーはどのような火災保険・賠償責任保険に入っているのでしょうか。
特に契約書を読み込むこともなく、保険会社の担当者に勧められるがまま加入しているケースも少なくないでしょうし、最悪加入すらしていないということもあります。
しかしながら、訪日外国人が増加している昨今、火災保険ほか損害保険に関してはシビアに対処していく必要があります。旅館を経営していく上で、火災保険・賠償責任保険に加入することはリスク回避のためにも必要なことなのです。
火災保険に加入しておくと、旅館が火事で全焼してしまったり、自然災害により大きな被害が出てしまったりした時に、建物の再建及び家具の再購入が保険金で補償されます。
最近はどの地域でも大きな地震が起こる可能性もあることから、火災保険とセットで加入する地震保険への加入も検討すべきでしょう。ちなみに、旅館ならではのリスクには以下のようなものがあります。
- 旅館の手すりに不具合が生じていて、宿泊客が寄りかかった拍子に手すりが外れて転落死亡事故が発生した
- 旅館で火災が起こり、宿泊客が火傷を負った。
- 旅館のスタッフが宿泊客の前でグラスを落としてしまい、割れたガラスの破片で宿泊客が負傷した
- 旅館の夕食を食べた宿泊客が、食中毒を起こしてしまった。
- 旅館の温泉にレジオネラ菌が発生し、宿泊客が感染してしまった。
- 旅館の金庫に入っていた宿泊客の時計や財布が盗まれてしまった。
- 旅館の駐車場でスタッフが宿泊客の車を誘導していた時に誤って宿泊客の車が柵にぶつかってしまって被害が出た
このようなものは、旅館が抱えているリスクのほんの一例です。宿泊客にケガや火傷などを負わせてしまうことは大変ですが、万が一死亡事故につながってしまった場合は、多くの補償が発生します。
遺族への謝罪だけでなく、莫大な慰謝料なども発生しますし、裁判になる可能性もあります。
このような場合、火災保険や賠償責任保険に加入しておくと、旅館が被る経済的リスクを減らすことができますが、加入していなければその後の経営状況にも響くレベルのダメージを負うことになります。
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「旅館賠償責任保険」とは?
旅館のような宿泊施設で起こり得るリスクをカバーすることができるのは、旅館向けの保険である「旅館賠償責任保険」です。
旅館賠償責任保険には多くの種類がありますが、その中でも「施設事故」「生産物事故」「受託物事故」にまつわる基本補償となる部分をしっかり確認しておきましょう。具体的には以下のような感じです。
- 施設事故…施設の管理・業務遂行上の賠償責任
旅館の運営するにあたっては、施設の構造上の欠陥や管理、使用上の不備、スタッフの業務上の不注意によって宿泊客にあらゆる被害を与えた場合に備えた、賠償責任を補償する保険に加入しておかなければなりません。
例えば、旅館で火災が起きて宿泊客が火傷を負ったとしましょう。その場合、被害を受けた宿泊客に対する損害賠償金が発生しますので、賠償金をカバーするための保険が必要になります。
火災の場合は、負傷する人数が複数に及ぶこともありますので、このような補償がない場合は最悪休業に追い込まれる可能性もゼロではありません。その他にも、施設の管理不足などにより死亡事故や怪我が発生した場合も、多額の損害賠償金が発生する可能性があります。
旅館のような宿泊業を営むにあたり、このような保険への加入は必須事項といえます。
- 生産物事故…飲食物などの提供による賠償責任
旅館で販売・提供した飲食物・商品によって、宿泊客に被害が出て賠償責任が生じた場合も、それを補う保険がないと大きな経済的リスクを背負うことになります。
例えば、宴会の料理を食べた宿泊客が食中毒を起こしてしまうと、大勢の人数の損害賠償を一気に支払う必要がありますので、経営を揺るがすほどの大アクシデントに発展してしまうかもしれません。その備えのためにも、保険への加入は必須といえます。
- 受託物事故…宿泊客の荷物に対する賠償責任
旅館が宿泊客から預かった物や宿泊客が携帯していた物がなくなったり盗難されたりといった被害を受けた場合は、やはり損害賠償をしなければならないため、それを補うための保険が必要になります。
例えば、旅館の金庫に入っていた宿泊客の時計や財布が盗難に遭ってしまった場合は、当然ながら旅館側で損害賠償金を支払うことになってしまいます。大勢が一気に被害を受ける可能性がある火災や集団食中毒などよりは経済的リスクは低いかもしれませんが、旅館としては補償があった方が安心できるでしょう。
以上の賠償責任の他にも、トラブルが発生したときの弁護士費用も必要になります。
例えば、上記のような状態が発生した場合に慰謝料などの問題で裁判にまで進展してしまった時に弁護士が必要になる場合もあるでしょう。この時の弁護士費用も、保険でカバーできるので大きな味方になります。
また、旅館に過失がないときのお見舞金も補償されます。旅館内で対人事故が発生した時は、被害者に対して一定のお見舞金・お見舞品が必要になることがあります。それほど大きな金額にはならないですが、保険でカバーできるに越したことはないでしょう。
オプションとして付けることができれば、旅館としても安心の補償といえます。
さらに、事故の発生により売り上げが落ちてしまったときの利益補償もあると助かります。
旅館で集団食中毒や感性症などが発生してしまった場合、それが原因で業務停止になったり利用者が減ってしまったり、売り上げが大きく落ち込むケースがあります。
そのような時でも、設定した期間中の営業利益の確保や損失を補償するプランもオプションで付けることができます。
また、スタッフが事故に遭ったときの労災補償もあります。例えば、スタッフが布団を運んでいる時に転倒してしまい後遺症が残ってしまった場合など、業務中に起こった事故については労災扱いとなり、賠償責任を保険で補償してもらえます。
様々な保険会社から旅館用の火災保険が発売されている
各保険会社では、旅館向けの旅館賠償責任保険を扱っています。代表的な損害保険会社である「損保ジャパン日本興亜」「東京海上日動」「三井住友海上」「AIG損保」では取り扱いがありますし、
「仕事の保険110番.net」のようなオーダーメイドの旅館賠償責任保険を設計できるサイトも登場しています。
このように、旅館賠償責任保険は旅館で加入しておくべき保険ですが、このほかにも旅館が加入しておくと万が一の時に役立つ保険があります。それが「旅館宿泊者賠償責任保険」です。
この保険は、宿泊客が旅館内で賠償事故を起こした時に補償する保険で、具体的には以下のようなケースが挙げられます。
- 客室の中で、宿泊客の子どもが遊んでいる時に誤って障子を破いてしまった
- 旅館の宿泊客が食事中にワインをこぼしてしまい、隣にいた宿泊客の服や持ち物にシミを付けてしまった。
- 旅館の宿泊客が浴衣の裾を踏んで倒れてしまい、たまたま目の前にいた宿泊客と接触し骨を折ってしまった。
これらはすべて旅館の責任ではなく宿泊客の過失による事故です。そのため、旅館側としては責任を取る必要がないものとも思われます。
しかし今や口コミの時代ですので、理不尽な宿泊客の中にはよからぬ噂を流す人もいるかもしれません。
そのため、旅館の評判を落とさないためにも、宿泊客の自己責任に任せるのではなく、旅館側ですべてカバーしてしまおうというのが旅館宿泊者賠償責任保険の考え方です。
旅館は宿泊客にお金を払ってもらって利用していただいています。そのため「あなたの保険をお使いください」とはなかなか言い出せないでしょう。
このように考えると、旅館宿泊者賠償責任保険を掛けておくことでどんなトラブルにも対応でき、一時の損こそあるかもしれませんが、結果的には旅館の評判を高めることにつながります。
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旅館の信用を守る保険の存在
このように、旅館の人気を保つために役立つのが旅館宿泊者賠償責任保険といえます。例えば、宿泊者が食事中に隣の宿泊客の服や持ち物にシミを付けてしまった場合でも、すぐに「ご安心ください。こちらで対処させていただきます」と伝えると、被害を与えた宿泊客も、被害を与えられた宿泊客も悪い気分はしないでしょう。そして結果的には、旅館の評判がアップすることになります。
宿泊客同士が揉めることもなく、どちらの宿泊客も「この旅館はしっかりとした対応をしてくれるな。また利用しよう、そして友達にも勧めよう」という気持ちになってくれることでしょう。こう考えると、旅館にとって命である「信用」を守るための旅館宿泊者賠償責任保険ともいえます。
旅館の経営者の中には、宿泊料が安くないと宿泊客が来ないから経費はできる限り抑えたい、と考えている人もいるでしょう。そのため、経費削減のために保険から削っていく旅館も少なくありません。
しかし、万が一集団食中毒が起きてしまったら、死傷事故が起きてしまったら、宿泊客同士でもめ事が起きてしまったら…旅館には経営を脅かすリスクがたくさん潜んでいるのです。これらのリスクに対処するためには、キャッシュフローだけでは足りなくなる可能性もあります。そのため、法人用の火災保険・賠償責任保険への加入は旅館にとっても必須事項といえるでしょう。
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記事監修:矢島 弘子 |
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火災保険請求・地震保険請求アドバイス業務に従事。年間200棟の調査を13年間継続して行い、建物調査後の損害鑑定人との立ち合いや交渉も行っている。外部の敷地内の申請はもちろん室内の汚損・破損の申請や給排水設備の申請も得意とし、家財保険かけている方が知らないスーツのアドバイスなども行っている。2021年10月7日の地震被害はあり、関東圏であればどこでも無料点検はすぐにご依頼ください。損はさせません。2021年も終わりが近づいてきました。 今年も忙しく来年も忙しく突っ走っていきます |